運動不足解消で寿命0.9年延伸、五輪前に運動の影響を国ごとに評価。

2012/07/23 14:42 Written by

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先進国を中心として世界的に運動不足の状態で、健康状態に悪影響を与えていると考えられている。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のI-Min Lee氏らは、ロンドン五輪(7月25日〜8月12日)を前に、運動が病気や平均寿命に与える影響を国ごとに評価。運動不足が解消された場合、平均寿命が世界で0.68年、日本では0.91年延びると、7月18日付の英医学誌「Lancet」(2012; 380: 219-229)に報告した。Lee氏らによると、運動不足の影響は喫煙や肥満と同じ程度で、運動不足の解消、減少に向けた世界的な努力を訴えている。

◎不活発の10〜25%減少でも大きな死亡減少

Lee氏らは、心臓病や生活習慣病、がんなどの感染症以外の主な病気について、運動不足が世界各国の人々にどの程度影響するのかを検討した。

その結果、運動不足が世界の人口に影響する割合は、心筋梗塞などの冠動脈性心疾患で5.8%(東南アジア3.2%〜東地中海地域7.8%)、2型糖尿病で7.2%(同3.9〜9.6%)、乳がんで10.1%(同5.6〜14.1%)、大腸がん(結腸がん)で10.4%(同5.7〜13.8%)となった。日本は冠動脈性心疾患が10.0% 、2型糖尿病が12.3% 、乳がんが16.1%、結腸がんが17.8%だったという。

人口に影響する割合は結腸がんが最も高かったが、2008年の世界の冠動脈性心疾患による死亡は724万人、結腸がん死は64万7,000人。運動不足を解消することによって回避できる死亡数は冠動脈性心疾患の方が多く、アフリカで1万5,000人、米州で6万人、東地中海地域で4万4,000人、欧州で12万1,000人、東南アジアで5万9,000人、日本を含む西太平洋地域では10万人に上ると推定された。

また、運動不足は全ての理由による死亡の9.4%(東南アジア5.1%〜東地中海地域12.5%)に寄与することが分かった。2008年の世界の死亡者数は5,700万人のため、530万人が運動不足の解消によって死亡を回避できる計算となる。運動不足を完全に解消するのは難しいが、人々の運動不足の割合が10%低下したとすると、総死亡は年間53万3,000人減少し、25%低下すれば130万人の死亡を回避できることも分かった。

◎「五輪選手にはなれなくても活発になれる」

以上から推計すると、運動不足が解消された場合、平均寿命は世界で0.68年延びると推計された。最小は東南アジアの0.41年、最大は東地中海地域の0.95年で、日本は0.91年と、1年近く延伸するという。

Lee氏らは「この夏、ロンドン五輪で出場者の素晴らしい技が称賛されるだろう。これらのレベルに到達できるのはごくわずかだが、われわれの大多数はそこまでのレベルに高めなくても活発になることができる」とし、運動不足を減らすための世界的な努力を訴えている。

※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/07/23/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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