野球のカーブ・ボールはなぜ打ちづらい? 視野の位置と錯覚が大きな関係。

2009/06/09 11:19 Written by Narinari.com編集部

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ピッチャーが投げたボールの角度や速度がガクンと変わって見える“カーブ”。ストレートと同じ腕の振りで放たれた“カーブ”は、球速は遅いものの、打者のタイミングを崩すことで打ちづらくする変化球のひとつです。しかしこのスピードと曲がり方の緩急は、今まで落下運動の加速によるものだと説かれていましたが、実は打者の目の「錯覚」による効果も手伝っているという事実を、米ペンシルバニア州バックネル大学の心理学教授が突き止めました。

同大学のアーサー・シャピーロ教授は、バッターはボールが放たれた直後には、ボールをまっすぐに見つめているものの、打つ直前になると視界の角(末端視野)を使ってその位置を把握していることに着目。スピンするボールのアニメーションを作成(http://www.newscientist.com/movie/best-new-visual-illusions-curveball ※PCのみ)し、被験者にふたつの見方でボールを観察させました。

すると、ボールをジッと見つめて目で追った場合には、ボールは真っ直ぐに進んでいるように見えるものの、目の焦点をボールから少し横にずらし、視界のすみでボールを見た場合には、曲がって進んでいるように見えることを発見。これは、脳が末端視野に入った物体の動きを、通常(ジッと見つめた場合)とは違う方法で解析するためなのだそうです。

アニメーションは、“カーブ”の持つふたつの動きを再現しています。ひとつはボール自体が回転する「動き」、もうひとつはボールの位置が変わる「動き」。

「末端視野ではこのふたつの動きが混合し、物体の回転も『位置の動き』として脳が認識してしまうのです。すると、あたかもボールが回転する方向に曲がっていくように見えてしまうのですね」

と、シャピーロ教授は説明しています。実際の“カーブ”はボールの縫い目で回転していることが判りますが、コレが実は「錯覚」の原因。デッドボールのように大きく軌道を反れたボールでなければ、ピッチャーの手元から離れたボールは、前を向いているバッターの末端視野に次第にずれていきます。すると先ほど説明したように「物体の回転」による錯覚が生まれ、ボールが突然角度を変えたように見える、というわけです。

逆にいえば、ボールの回転が見えなければ“カーブ”はずっと同じ角度で飛んでくるように感じるはず。もし真っ白な縫い目のない(縫い目の見えない)ボールを使ったら、打者に“カーブ”は通じなくなるかもしれませんね。

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