全世界のファンが待ち望んでいたガンズ・アンド・ローゼズの新作『チャイニーズ・デモクラシー』のリリース。延期に延期を重ね、制作発表から14年を経た今年11月22日にようやく発売された。初回出荷は米国のみで200万枚、世界では400万枚を超えており、すでに今年のNo.1ヒット作となることが確定している。
このアルバムはタイトルとなっている中国では発売されていないが、同国でも知名度の高いバンドであるガンズ・アンド・ローゼズが「中国の民主主義」を意味する題名をつけたことに、同国内のネット利用者から怒りの声が上がった。地元紙の国際在綫はこうしたユーザーの意見を紹介しつつ、アルバムを「中国に対する西側の謀略」と評している。また、アルバム公式サイトなどが同国では閲覧不可能となっており、「民主主義」などのキーワードに目を光らせている当局の介入も噂されているという。
国際在綫紙は、『チャイニーズ・デモクラシー』の説明として米紙ウォールストリート・ジャーナルやロイター通信の記事を引用したうえで、中国内のネットユーザーの声を紹介。それを見てみると、「ガンズ・アンド・ローゼズは西側から見た偏った中国評を下し、中国の“示威行為”を非難して“英雄”になった。この反中国の道化者たちのポケットは、金であふれかえっているというのに」「アルバムの矛先は中国に向けられている」など、怒りにあふれたものばかりだ。同紙はこれらのことから、「民主主義を手先として世界を牛耳ろうとする西側諸国の陰謀」などと結論した。
またAFPによると、中国ではアルバム公式サイト(//www.chinesedemocracy.com/)が閲覧できないようになっているほか、検索エンジン「百度」がアルバムに関する検索をブロックしているともされている。当局は初めて聞いた。検閲の真偽は分からないが、うわさではないだろうか」(AFPより)と否定しているが、当局の介入によるものとの見方が強いようだ。
ただ、同アルバムに収録されている全14曲が試聴できる米SNS「MySpace」上のページには、中国からのアクセスも可能な模様。AFPでは「アルバムの名前だけで判断すべきでない。実際に曲を聞いて理解し、考えようとしたのか」など、中国ネットユーザーの肯定的な意見も紹介されており、反射的に怒りの反応を示すのは適当でないとの意見が大半を占めているという。
国際在綫紙では否定的な意見ばかりが紹介されており、AFPの報道との間に矛盾が生じている。どちらの報道が正しいのかは不明だが、中国内に向けた情報操作が行われている可能性も否定できない。いずれにせよ、アルバム発売や公式サイトへのアクセスが制限されても、中国のファンはMySpace上で17年ぶりの新作を楽しんでいるようだ。