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夏の日の悲劇。
02/07 17:30 コジマ


これから書く話は暴力的な表現は含まれていません。が、かなり汚い話なので心して読んでください。特にごはん食べながらは、決して読んではいけないのだ。

ある夏の日、ぼくは朝から腹痛と闘っていた。ゲリである(あ、もう汚い)。腹の中でクーデターが勃発し「オレたちを解放しろー!!」とう○こたちが暴れまわっているのだ。自分の体の主導権は完全にこの不平分子に握られ、彼らに要求されるまま、便所に赴くこと5回に及んでいた。具合が悪いことに、その日は夕方から友人が出演している演劇を観にいく予定があったのでアセっていた。ここでぼくは「早期解決のためには武力行使もやむをえないな・・・」と決意した。薬物兵器・正露丸の投入である。これは効果テキメンだった。30分もすると、門の出口手前まで来ていた暴徒たちがみるみる鎮圧されていった。しかし「ふん、他愛のない」というぼくの慢心があとで未曾有の悲劇を招くことになるとは、そのとき知る由もなかった。

演劇の会場に行く前、大阪から実家に帰ってきていた妹を東京駅まで車で送っていったのだが、渋滞していたせいもあって、妹を降ろした瞬間から急にトイレへ行きたくなった。といっても鎮圧された暴徒が再起したわけではない。小さいほうのタンクが満タンになったのである。コンビニでも入ろうかと思ったが、東京駅から会場のある浅草橋まで大した距離ではないし、渋滞もしてないようだったので、会場に着いて用を足すことに決めた。

ところが、ところがである。浅草橋に着く前にぼくのタンクは満タンどころか表面張力をフルに使っても溢れる寸前になっていたのだ。コインパーキングに車をツッコんだときには、今すぐしないととんでもなく恥ずかしいことになりそうな状態になっていたので、住宅街のなかに入り、緊急放出場所の路地を探した。が、必死の形相で駆けずりまわって探しても、人通りは意外に多いし手頃な場所が見つからない。もうダメだと思った瞬間、ようやく安住の地をみつけた。月極駐車場の車の陰である。

いきおいよく排出される水分に比例して、ぼくの顔もだんだん幸福感に満ちあふれた表情になっていく。「ああ、サイコーだ。しかし駐車場の持ち主には悪いなあ。でもこっちがヤらなきゃヤられていたんだ。刑法でいうところの緊急避難なのだ。ブツブツ」などと考えていると、にわかに「ボウワッ」と腹を下がってくるものを感じた。「お、屁だ。景気良く出すか」放尿の気持ち良さに判断能力を奪われていたぼくは、稲中のように「チューリッ・・・」のかけ声のあとに門を全開にし、下っ腹に力を込めた。そのあとに出た音は「プッ」でも「ブリッ」でもない。「ビチッ」や「ピュルッ」などカワユイものである。

「シャバァー・・・」

青空の下で初めて聞く音だった。うしろに「ッ」は付かず、伸びてフェイドアウトしていく奥ゆかしい音・・・。

「!?」
ぼくは事態が飲み込めなかった。前はちん○ん丸出しである。震える手でおそるおそるケツに手を当ててみる。「ぬ、濡れてます隊長・・・」つぶやいて裾を見ると、茶色の液体が脚を伝ってスニーカーに入ろうとしているではないか! 「う、う、うぎゃー!!」(小声)。今朝のクーデターをすっかり忘れていた。反乱分子は根絶やしにされたわけではなく、息を潜めてじっと機会をうかがっていたのである。場所をわきまえない無差別テロにアワを食ったが、急いでスニーカーと靴下を脱いでTシャツをめくり上げたため、被害は最小限にとどめられた。しかし問題は下半身である。ゆっくりおそるおそるジーンズとパンツを脱ぐ。ケツから脚にかけて大量に付いたゲリう○こ。そしてまたぼくは叫んだ「拭くモノがねーぞう!」(あくまで小声)。次々と突きつけられる現実に卒倒しそうになるが、気をとりなおして打開策を講じる。

拭けるとしたら、Tシャツ、靴下、そしてパンツのみだ。上半身裸くらいなら、夏だし「ちょっと気軽なヘンタイ」として周囲の目もあたたかいだろう。だが、この日のTシャツは買ったばかりのお気に入り。死んでもう○こなんぞ拭きたくない。靴下では拭ける範囲もタカがしれてる。すると視線はおのずと脱いだばかりのパンツに向く。「ギクッ!」とするパンツを拾いあげ、「おい、オマエもう汚れてるじゃんよー。もういいだろ? 家族の面倒はみるからよー」とお国に尽くすよう説得した。それにしても車の陰とはいえ、白昼堂々住宅街のどまんなか、裸でう○こまみれの下半身をこれまたう○こが付いたパンツで拭いている姿は、どんなに親しい友人でも見せたくない光景である。ところが、なにか視線を感じ、フト顔をあげると、金髪の女の人がこっちを訝しがって見ている(向こうからは車の窓の位置で上半身しか見えない)。「マ、マズイ。女の人、しかもガイジンさんじゃないか。このままだとオレは国際的なヘンタイになってしまう。ICPOに指名手配されたらどうしよう!」と急いでジーンズを穿き、その人が去るのをジリジリと待って、いなくなったスキに猛ダッシュで車に乗り込み家路に就いた。途中、「のっぴきならない出来事があっていけなくなりました。探さないでください」と出演真っ最中の友人にメール入れた。あんなに観たかった公演をこんな理由行けなくなるだなんてという思いと、車内に「ぷ〜ん」とただようニオイでさらに情けなくなり、えんえん泣きながら運転したのだった。

これが悲劇の全貌である。時間にして5分くらいの惨事。そしてなによりも恐ろしいのは、この事件が去年、つまりぼくが27歳になる寸前という年齢で起こったことである。あー恥ずかしいのだ。

ケツと脚を拭き拭きしたパンツは、申し訳ないがとてもじゃないけど持ち歩くことができなかったので、その駐車場に置いてきてしまった。ホントにほんとぉーにごめんなさい。




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