米の「妊娠男性」無事に女の子を出産、自然分娩で。

2008/07/05(Sat) 23:40

今年春、米で人気のトークショー「オプラ」にとある男性が出演し、世間に大センセーションを巻き起こしました。

トマス・ビーティさんは、ハワイ出身で現在オレゴンに住む34歳。奥さんのナンシーさんとは10年間一緒に暮らしていますが、今まで子供はありませんでした。なぜならナンシーさんは以前重度の子宮内膜症に苦しみ、子宮摘出手術を受けていたのです。しかし彼らは望みを捨てず、子宝を授かるために可能な方法を探し出したのです。それは、トマスさんが妊娠するという手段。そう、夫であるトマスさんが本当に子供を授かったのです。「オプラ」出演時にはすでにお腹のでっぱりが目立っていた彼。その信じられない姿に会場にいた観客も騒然でした。それこそ、口をあんぐり開けた人々がたくさん……。

しかしどうしてこんな、一見生理学的に不可能なことが可能になったのか……。答えは意外と簡単です。トマスさん、実は生まれてから20年間は、トレイシーさんという名のれっきとした女性だったのです。しかもミス・ティーン USA のハワイ代表ファイナリストなるほどの美貌を誇っていたそう。

しかし大人になると同時に性同一性障害を自覚し、20代の時にホルモン治療を受け始め、トランスジェンダーとして生活を開始。その後法的手続きを進め、今では法律上でも男性となってナンシーさんと結婚しているのです。

ただしトマスさん、女性的な胸を取り去る手術は受けたものの子宮摘出はせず、生理学的には妊娠が可能な体だったとか。なので夫婦で子供を望んだ時、トマスさんが生むというオプションが最善だという結論に達したのです。そしてホルモン治療を中止し、精子をドーナーから譲り受け1年間トライし続けた結果、2度目の妊娠で(1度目は子宮外妊娠で残念ながら中絶をしなければならなかったそう……)先日、無事女の子が生まれたそうです。

出産時、混乱を避けるために偽名を使って入院していたというトマスさん。自然分娩で出産し、母子共に健康であるとか。

「母乳での授乳は出来ないけれど、自分が今『男』であることで出てくる子育ての弊害はなにもない」

というトマスさんと奥さんは、念願の赤ちゃんを腕に抱いて幸せいっぱい。

なにはともあれ、おめでとうございます。


参照記事
The Pregnant Man Gives Birth(People.com)−英文−

 

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