万博開催記念 名古屋の朝食事情

2005/04/30(Sat) 06:58

 昨年来からの空前の名古屋飯ブーム、そして今年の愛知万博(愛・地球博)開催に伴う名古屋ブーム。いまや名古屋関連の話題を目にしない日は無いほどクローズアップされている名古屋ですが、その名古屋独自の文化のひとつとして「モーニング」が紹介されることがよくあります。

 喫茶店でドリンクを注文するとさまざまな「オマケ」が付いてくるという「モーニング」の文化は名古屋独自のものとして語られることが多いですが、正確には名古屋というよりも、愛知県全般と近隣の岐阜県などに見られる文化と言ったほうが正しいでしょう。参考までに、総務省統計局調べによる「一世帯あたりの年間喫茶代」ベスト3の自治体を見ておくと。

1位 岐阜市 15,525円/2位 名古屋市 13,707円/3位 京都市 8,703円(全国平均は約5,500円)

 この数字を見るだけでも、ほかの地域に比べると、いかに岐阜や名古屋では喫茶店が栄え、「モーニング」という文化が根付いているかが分かります。

 そもそも、「モーニング」とはいつ頃から始まった文化なのでしょうか。一説には40年ほど前からサラリーマン向けのモーニングサービスとしてスタートしたと言われています。現在はサラリーマンに加えて主婦層も利用することの多いサービスとなり、そのメニューも主婦層を意識したものを提供する喫茶店が増えているようです。

 ひとえに「モーニング」といっても、地域ごとにメニューに特色があるのが面白いところ。例えば愛知県の西部(一宮市や尾西市など)、中部(名古屋市)、東部(豊橋市、渥美郡など)では「モーニング」のメニューの傾向が異なっています。西部ではサラリーマンがよく利用することから、胃にもたれないよう茶碗蒸しやうどんなどのあっさり系が多く、愛知県東部では早朝から働く農家の人たちが多く利用するため、ずっしりと腹に溜まる揚げ物系が人気。意外にも名古屋市内は地味な店が多く、トーストとゆで卵というシンプルなものが主流となっています。

 それでは、実際に愛知万博の玄関口となっている名古屋では、どのような「モーニング」が存在しているのか、簡単に見ていくことにしましょう。

ドリンク代だけのモーニング「ベルヘラルド」

 まず最初に、最もオーソドックスなスタイルの「モーニング」を提供する人気店の「ベルヘラルド」へと向かいました。コーヒーや紅茶など、ドリンクの料金だけを払えばいろいろな「オマケ」を食べることができるタイプのお店です。


店舗外観

ドリンク代は399円

カンガルーがお出迎え

 サンロード店とメイチカ店の2店舗が名古屋駅構内にある「ベルヘラルド」は、その立地の良さから通勤前の時間はかなり混雑しています。ほぼ満席状態のことがほとんどのようです。


紅茶は2杯分ほど

これを注文すると…

 とりあえず紅茶を注文。料金はごくごく普通の喫茶店と同じ程度なのに、「オマケ」としていろいろなものが付いてきます。


サンドウィッチやパン

山盛りゆで卵

 「ベルヘラルド」ではマーブルパン、デニッシュ(苺・カスタード)、クリームパン、カステラ、黒糖パン、あんデニッシュ、あんロール、チョコクロワッサン、シャポーブラン(チョコレート・ブルーベリー・マーマレード)、ゆで卵が食べ放題です。


パンが中心

クロワッサンや

サンドウィッチも

 う〜む、お腹いっぱいです。これだけの数のパンが、ドリンク代だけで食べられるなんて素敵すぎます。でも、もっと凄い人気店があるという情報をキャッチしていたので、お腹いっぱいながら、頑張って次の店へと向かうことにしました。

飲み物代+αのモーニング「Cherry」

 やって来たのは、主婦に大人気だという名古屋の「モーニング」の人気店「Cherry」。ドリンク代+100円でさまざまな「オマケ」を食べることができます。


看板

店舗外観

店内の様子

 「Cherry」は黒川駅の4番出口を出たところにある黒川ガスビルプラザの1Fにあります(名古屋市北区黒川本通2-17)。場所柄、通勤客よりも、近所に住む人たちが朝食を取りに来ることが多いようです。


アイスティーを注文

 とりあえず、ここでもアイスティーを注文。そしてモーニング希望を伝えます。さあ、食べようじゃありませんか。


パンの山

こちらも山

フライドポテト

コールスロー

ゆで卵

焼きそば

春雨サラダ

ゼリー

持ち帰り禁止

 「Cherry」で提供されているメニューは豊富。パン9種類(あんパン・チョコデニッシュ、さつまいもパン、くるみパン、ミルクロール、バゲット、ロールパン、豆パン、デニッシュ)に、ピザ、焼きそば、春雨サラダ、コールスロー、フライドポテト、ゆで卵、ゼリーが食べ放題となっています。う〜む、これでドリンク代+100円。ちょっと安すぎますよね。

CoCo壱番屋の新業態店「CURRY-PAN屋 COCOICHI」

 一般に言われる「モーニング」とは少し異なりますが、番外編として名駅地下にあるカレーパン専門店「CURRY-PAN屋 COCOICHI」を覗いておくことにしましょう。


店舗外観

店内の様子

セルフ方式

 カレー専門店の「CoCo壱番屋」では24時間営業の一部店舗でのみ朝食メニューを提供していますが、「CURRY-PAN屋 COCOICHI」では午前7時半の開店時から、カレーに加えてさまざまな揚げパンが提供されています。


カレーパン&サラダセット

カレーパンセット

エッグカレーセット

ナンキーマセット

 いずれもモーニングセットということで、ドリンクやサラダが組み合わされています。セットで選べるカレーパンの種類は全部で6種類(カレーパンやさい、カレーパンミート、マイルドチーズ、カレーパンソーセージ、カレーパン激辛ミート、カレーパンキーマ)+デザートパン2種類(白玉ぜんざいパン・抹茶パン)。ドリンクは10種類(コーヒー、カフェラテ、アイスコーヒー、アイスティー、ウーロン茶、コーラ、アイスカフェラテ、アイスミルク、100%オレンジジュース、ジンジャエール)の中から選ぶことができます。


ズラリと並んだカレーパン

美味しそう

名古屋では名駅地下だけ

150円程度で買えます

 今回はカレーパンセットに2個プラスして、合計3種類のパンを食べてみることにしました。マイルドチーズ、激辛ミート、白玉ぜんざいパンの3種類です。


カレーパンセット+α

水菜のサラダ

カフェラテ

マイルドチーズ

外見はこんな感じ

断面図

激辛ミート

外見はこんな感じ

断面図

白玉ぜんざいパン

外見はこんな感じ

断面図

 セットに付くサラダは水菜、ミニトマト、サニーレタス、コーンが入っており、品目はまずまず。カレーパンのマイルドチーズは、あまり辛くはないカレーに薄いチーズが加えられ、衣の部分にパセリをまぶしてあります。激辛ミートは名前ほどは辛くはなく、酸味が効いて結構スパイシー。挽肉が多めに入っていて、衣は粗めのパン粉がサクサクしていてとても美味。白玉ぜんざいパンはカリカリの衣にフワフワの生地が楽しい食感。甘さも控えめで、とても美味しいものでした。

 このように「モーニング」を始め、名古屋には朝食をしっかりと食べる文化が根付いています。朝からバイキングや揚げたカレーパン……。そう聞くと少し重い朝食のような気もしますが、こうした食事でもしっかりと食べて勤め先や学校へ向かうという力強さが、今の元気な名古屋を支えているのかもしれませんね。




 

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