嗚呼、懐かしのビクトリアステーション
2004/11/11(Thu) 21:12
プライムリブという料理をご存知ですか? プライムリブ。それは極厚にカットされたローストビーフのこと。ローストビーフというと、通常はペラペラのものを想像しますが、プライムリブは厚さが2〜3センチ、大きなものだと5センチくらいにもなる、まさに肉塊といった感じの料理のことなんです。アメリカでは比較的ポピュラーな料理のようですが、日本では高級店などでたまに見かける程度で、あまりお目にかかる機会がありません。 そんなプライムリブを、恐らく日本で初めて気軽に食べられるスタイルで提供していたチェーン店が、かつて存在していました。そのチェーン店の名前は「ビクトリアステーション」。アメリカでチェーン展開していた「ビクトリアステーション」を、ダイエーが日本に子会社を設立して展開。一時は渋谷、六本木、早稲田、荻窪、練馬、所沢、相模原、横浜、幕張、船橋、大阪などに店舗を拡大し、多くの人に美味しいプライムリブを提供してくれたものです。 ところが、親会社のダイエーが経営危機に陥ったため、1999年末に全店舗を閉鎖。2000年には会社ごと清算されてしまい、日本から「ビクトリアステーション」は姿を消してしまったのです(※)。日本から「バーガーキング」が撤退したときのように、「ビクトリアステーション」のファンは呆然としてしまったもの。だって、もう気軽にプライムリブを食べることができなくなってしまったわけですから……。 (※現在北海道を中心に展開しているステーキハウスの「ビッグボーイ」の別業態店「ヴィクトリアステーション」とは、直接関係は有りません。もともとどちらもダイエー系列のお店ですが、メニュー構成も、展開している地域も異なっているようです) しかし、熱烈なファンが多かったことが大きかったのか、「ビクトリアステーション」のDNAを日本で受け継ぐべく、元社員が中心となって1店舗だけ、以前とほとんど変わらないスタイルでプライムリブを提供しているお店があります。それが「ステーショングリル」。神奈川県横須賀市という、米軍基地が近い点も、店舗を存続させる大きな理由になったのかもしれません。 Narinari.com取材班は数年前から「ステーショングリル」に関する情報はキャッチしていたのですが、なかなか実際に訪れる機会がありませんでした。しかし、どうしてももう一度、あのプライムリブを食べたいという思いが積もりに積もったため、遂に「ステーショングリル」を訪れることを決意。東京から電車に揺られて1時間半。プライムリブとの再会に向けて、「ステーショングリル」に行ってみることにしました。 念願のプライムリブと対面 「ステーショングリル」があるのは神奈川県横須賀市。駅でいうと、京浜急行の汐入という駅になります。ダイエーのショッピングモール「ショッパーズプラザ横須賀」に併設されるかたちで「ステーショングリル」はありました。汐入は大きな駅ではないので交通の便が良いとは言い難いですが、「ショッパーズプラザ横須賀」には1,500台止められる駐車場があるので、車で行くほうが楽かもしれません。 汐入に到着! | ショッパーズプラザ | 「ショッパーズプラザ横須賀」の駐車場脇にある独立した建物。ピンクの派手な外観が目を引くこの建物が「ステーショングリル」です。 そうそう、説明が前後してしまいましたが、「ビクトリアステーション」も「ステーショングリル」も、その名の通り鉄道の駅をモチーフにした店舗となっています。そのため、大型の店舗には実際の客車が置かれており、雰囲気を高めているのです。こういった演出は楽しいですね。 では、早速お店の中へ。広々とした店内の客席数は170席。高めの天井が印象的なホール部分と、さながら食堂車の雰囲気の客車部分が並存しています。 ここまで来たからには、どうせなら客車部分で食事をしたいもの。店員さんにその旨を伝えて、客車のほうへと案内してもらいました。 なかなか雰囲気有ります | 網棚も完備 | 木の造りが美しいです | ライトも凝ってます | 外が駐車場なのが残念 | さりげなく鉄道の絵も | それでは、早速注文することにしましょう。「ステーショングリル」はプライムリブのほかにもステーキやシーフードのグリルなどのメニューもあるのですが、今回のお目当てはやはりプライムリブ。これを注文しなくてどうするのか、といった感じです。ちなみに、プライムリブはコースにすると、サラダバーとスープバーがセットになります。サラダバーも種類が豊富でなかなか。ここら辺も、「ビクトリアステーション」時代とほとんど変わりありません。 しばらくすると、念願の、本当に念願のプライムリブがやって来ました。嗚呼、何年ぶりの再会になるのでしょう。 まさかまたこのプライムリブに出会えるとは思っていなかったので、かなり感動的であります(笑)。 プライムリブはそのまま食べても肉の味を純粋に楽しむことができますし、添えられている特製の赤ワインソースとホースラディッシュを付けて食べてもグッド。塩胡椒で食べるのも美味しいです。また、「ステーショングリル」では、醤油とワサビも別料金で提供しています。アッサリと和風に食べたい人にはオススメです。それにしても、肉汁がすごいこと、すごいこと。 今回注文したのは350グラムのもの。もちろん、それ以上食べたいという人もいるかと思いますが、店員さんに聞いたところ、50グラム単位で好きなだけ大きさを調整することができるようです(当然料金はどんどん高くなりますが……)。500グラム、600グラムという夢のようなプライムリブを楽しむこともできるんですね。食べてみたい……。 全体的な感想としては、自分の記憶にある「ビクトリアステーション」の味やサービスと、「ステーショングリル」のそれは、ほとんど同じだったように思います。久しぶりに記憶が呼び起こされ、非常に興奮することができました。味に関しては抜群にうんまいので言うに及ばず。 地元の人以外にとってはなかなか行きづらい場所にある「ステーショングリル」ですが、こうして「ビクトリアステーション」の血が存続していることは嬉しい限り。大手資本が経営しているわけではないので、再びチェーン展開、というのは難しいかもしれませんが、いずれ再び都心に、そして全国に店舗を拡大していってくれることを願うばかりです。 ステーキや焼き肉とは違うカタチで肉をたらふく食べたい人、「ビクトリアステーション」の想い出を持っている人、美味しいものが大好きな人。ぜひ一度、「ステーショングリル」のプライムリブと対面して、衝撃を受けて欲しいものです。 その肉、また食べに来ます!
☆「ステーショングリル」を理解するための関連サイト ・ステーショングリル …… お店の紹介。メニュー、地図など。Walkerグルメ ・ステーショングリル …… お店の紹介。メニュー、地図など。Yahoo! グルメ ・懐かしのビクトリアステーションを語ろう! …… 2004年5月に立った2ちゃんねるスレッドのログ ・ビクトリアステーションってどうなった? …… 2001年4月に立った2ちゃんねるスレッドのログ
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