国内初! 地下鉄環状運転がスタート

2004/10/09(Sat) 00:46

地下鉄環状「運転」は国内初

 10月6日、名古屋市営地下鉄名城線の未開通区間だった名古屋大学(千種区)−新瑞橋(瑞穂区)が開通し、1周26.4kmを48分でグルリと回る地下鉄の環状線がスタートしました。日本の鉄道としては、JRの山手線、大阪環状線、都営地下鉄の大江戸線に続き4番目の環状線ですが、大江戸線は環状運転はせずに「6の字型」の折り返し運転をしているため、名古屋の名城線は、国内初の「環状運転」をする地下鉄の環状線ということになります。

 世界的に見ても地下鉄の環状運転はそれほど例がなく、名城線は北京、ソウル、モスクワなどに次いで世界で7番目。国内でも初めてだというのに、それほど大きな話題になっていないような気もします。さすがに全線開通については一般紙はすべて報じていましたが、地元・名古屋住民の関心もそれほど高くはないと言います。トヨタのお膝元、「車社会」の名古屋ゆえに鉄道があまり注目されないのかもしれませんが、来年2月には中部国際空港が開港、3月からは「愛知万博(愛・地球博)」がスタートと、名古屋を訪れる機会を得る人も多いはずです。名古屋の公共交通機関がどのようなものになったのか、簡単に見ておくことにしましょう。

名城線の沿革

 その前に、そもそも名城線とはどのような路線なのでしょうか。名城線が開業したのは1965年(昭和40年)のこと。当初は市役所−栄間のわずか1.3kmを結ぶ路線でした。その後、6度に及ぶ延伸工事が進められ、10月6日の名古屋大学−新瑞橋開業によって全線が開通。総建設費3,118億円、約40年に及ぶ大プロジェクトが完成したというわけです。徐々に線路を伸ばしていったため、大江戸線のようにすべてが新しい路線とは違うというあたりが、あまり大きな盛り上がりを見せない理由のひとつなのかもしれません。

 ちなみに、日本にある4つの環状線を重ねた図が有ります。名城線は1周26.4km。山手線の34.5kmよりも小さく、大阪環状線の21.7kmよりも少し大きい路線です。下の図を見ると、山手線の大きさが一目瞭然ですね。

ひっそりとしたスタート

 10月6日の開業当日、私たちは名古屋の中でもデパートなど商業施設が立ち並ぶ栄へと向かいました。初日くらい、祝賀ムードに包まれているだろう、との期待を込めて……。


栄(さかえ)駅です

ポスターはドーナツ柄

ミスタードーナツが協力

 駅には全線開通を伝えるポスターがたくさん貼られています。環状線をドーナツに見立てたポスターで、なかなか可愛い感じ。このポスターには「協力:ミスタードーナツ」の文字が書かれており、開通に合わせたキャンペーンを実施しているようです。


新しい路線図

環状線らしい「左回り」

 環状化に伴い、路線図も刷新。グルリと楕円のかたちをした路線図が登場しています。進行方向は「左回り」「右回り」という表記に。最初はどちらが「左回り」なのか、「右回り」なのか、少々慣れが必要な気がします。


横長の路線図

行き先案内板も

 行き先の表示も、これまでとは違い、「○○回り」で表示されるようになりました。山手線は「外回り」「内回り」という表現を使っていますが、「左回り」「右回り」のほうが直感的に分かりやすいですね。

 と、いろいろと開通記念っぽい写真を撮ろうと思ったのですが、想像以上に何も祝賀ムードがありません(笑)。少し肩透かしを喰らってしまいました。

全線開通後の利用者の反応

 開通から3日経った10月9日の中日新聞に、利用者の反応をまとめた記事が出ていました。それによると、昼間時間帯(午前10時台〜午後4時台)の本数が減ったことや、環状運転しない電車があること、以前と運賃が異なる区間があることなど、利用者の間では少し混乱が起こっているようです。やはり、慣れるまではしばらくこういった状況が続くかもしれませんね。

 なにはともあれ、国内初の地下鉄の環状運転。話のタネに、名古屋を訪れた際にはぜひ乗ってみてください。まあ、なにも目新しいものは有りませんが(笑)。



☆名古屋市営地下鉄名城線を理解するための関連サイト
名古屋市交通局 …… 市営地下鉄を管轄
地下鉄4号線名古屋大学・新瑞橋間の開業について …… プレスリリース
名古屋の地下鉄、国内初の環状運転 …… asahi.com

 

Copyright (C)2003 Narinari.com. All rights reserved.