都会のオアシス、皇居を散策

2004/08/25(Wed) 13:02

皇居の中はどうなっている?

 東京のど真ん中、旧江戸城の広大な敷地を利用し、皇族が生活を送る皇居。当然のことながら、一般の人がその中に足を踏み入れることができるのは新年と天皇誕生日の一般参賀の時くらい。著名人にでもなれば園遊会に招かれることもありますが、ほとんどの人にとっては皇居がいったいどのようなところなのかは、知る由も有りません。

 ただ、この皇居。皇族が居住しているエリアとは別の、一部のエリアが一般に開放されており、「皇居外苑」という名の大きな公園として整備されています。江戸城のたたずまいを今に残す「皇居外苑」とはどのような場所なのか。東京に暮らす人でも、意外と中に入ったことがないという人が多い「皇居外苑」。その中でも特に「特別城趾江戸城」の部分を、今回は散策していくことにしましょう。

江戸城の歴史をお勉強

 その前に、簡単に江戸城の歴史を振り返ります。この土地に初めて城が築かれたのは平安時代の末期頃だと言われています。秩父重継という武将が簡単な居城を築き、「入り江に臨んだ地点=江の戸」という意味合いで名前を江戸重継に改名。江戸氏は室町時代まで続きますが、没落し、江戸の居城も無人の廃墟となりました。

 その後、再びこの地に城を築いたのは有名な太田道灌。城下町を整備した江戸城は繁栄しましたが、太田道灌が主君の扇谷定正に殺害され、扇谷家の居城に代わります。その扇谷家も北条家に攻められ、江戸城は陥落。以降、徳川家康が江戸に来るまで北条氏の傘下に入りますが、北条氏の居城は難攻不落の小田原城。歴史的には、江戸城はさほど重要な意味を持つことは有りませんでした。

 北条氏を滅亡に追いやった豊臣秀吉が、その論功として北条氏の旧領を徳川家康に与えます。そして1590年に徳川家康が江戸城を居城とし、豊臣秀吉の死後、征夷大将軍に任命されてから本格的な大改築を開始。40年近くの大工事を経て、壮麗な五層の天守閣を備えた、スケールの大きな城が完成しました。以降、270余年もの長きに渡り、徳川家の居城として繁栄を極めたわけです。

 江戸城は明暦の大火などの度重なる大火事と関東大震災、そして空襲を受けた結果、江戸時代の姿はほとんど現存していません。ただ、ところどころ再建されている部分もあり、そういった城跡が「皇居外苑」として一般開放されているのです。

江戸城跡を散策


大手門からスタート

大きな柳が出迎えます

立派な門構え

 「皇居外苑」に入るにはいくつかルートが有りますが、今回は大手門から入ることにしました。江戸城の天守閣跡を目指すには、交通の便を考えても大手門からのルートが一番行きやすいと思います。


やたら広く、閑散とした園内

同心番所

大番所

 平日の昼間だったということもありますが、園内はガランとしていて閑散とした様子。ただただ広い道が先へと伸びています。ずんずん進んで行くと、まず最初に出会うのは「同心番所」。「番所」とは警備の詰所のことで、江戸城には現在「同心番所」と「大番所」、そして後で登場する「百人番所」の3つが有ります。


石垣に挟まれた道

石垣が連なっています

見上げるとかなり高い

 ここが城跡だと感じさせてくれるのは、東京のど真ん中に有りながら広々としているということのほかに、やはり石垣に囲まれている点。天守閣跡に向かって進めば進むほど、大きな石垣が私たちを出迎えてくれます。ちなみに写真の石垣は綺麗なものなので、恐らく再建されたものだと思われます。


百人番所

横にずーっと伸びています

 大手門を入って15分ほど歩くと、百人番所に到着します。本丸と二の丸へと通じる要所として、大手三之門の前に設けられた番所です。甲賀組、伊賀組、根来組、二十五騎組の4組(各組100人)が昼夜交代で詰めていた場所のようです。


広い広い道を行く

大奥跡!

今は何も有りません

 さらに進んでいくと、かの有名な「大奥」の跡地を発見! 大奥とは、将軍夫人や側室、そして彼女らの世話する女中など、約1,000人もの女性が生活をしていたと言われている場所。フジテレビ系で連続ドラマ化もされました。残念ながら、現在は何も残っていません。


天守台が見えて来ました

その先に何が……

ベンチしか有りませんでした

 大奥跡を過ぎると、次第に天守台が見えて来ました。かつて天守閣があった場所です。江戸城の天守閣は1607年、2代将軍徳川秀忠の時に完成しましたが、その後大修築され、3代将軍徳川家光の代の1638年に、国内最大、地上からの高さが58メートルという立派なものが完成。ところが、19年後の1657年に明暦の大火の飛び火によって全焼し、以降再建されることは有りませんでした。たった19年の短い命。はかないものです。

 全体的な感想としては、都心のど真ん中に有りながら人が少ないのがグッド。中には大きな芝生のスペースもあり、シートを敷いて横になっているサラリーマンらしき人もいました(笑)。皇居で昼寝。なんとも優雅なサラリーマンです。天守台付近で目立ったのは外国人観光客の姿。多くの外国人観光客たちが、大きな石垣をしげしげと見つめ、案内板を真剣に読む姿が印象的でした。

 近代的なビルが建ち並ぶ東京にあって、皇居はまさに異空間。綺麗に整備され、緑をたたえる木々を眺めながら、江戸城跡の散策。時の流れがゆるやかな皇居外苑を、機会があればぜひ訪れてみてください。


北桔橋門

優雅に立ち並ぶ木々

大きな芝生スペース

誰もいません

水をたたえる内堀

北桔橋門から見た外堀

北桔橋門から見た外堀

都心でも緑いっぱい

シャチホコもいます

現存する石垣

大きめにカットされた石垣

美しい建築物です


☆皇居外苑を理解するための関連サイト
皇居外苑 …… 概要や年間スケジュール、特色。環境省
皇居外苑保存会 …… 皇居外苑地区と北の丸地区の地図など
皇居外苑 …… 環境用語集
江戸城史跡めぐり …… 史跡の紹介。地図など
江戸城「江戸歴史散歩」 …… 史跡の写真


 

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