東京ドームの満員発表は本当か
2004/05/25(Tue) 20:56
東京ドームの連続満員記録 1988年4月7日に東京ドームでプロ野球の公式戦が開催されるようになって以来、巨人主催ゲームの観客動員数は常に「55,000人」と発表されていることをご存知でしょうか。これまで、ただの一度も「55,000人」を割ったことが無く、「巨人主催試合の連続満員記録」は現在も継続中。しかしながら、この発表は虚偽だという指摘が、もう何年も前から話題となっています。 虚偽たる大きな理由のひとつは、消防法に基づいて消防署に届けられている東京ドームの観客収容人数は「46,314人」だから。つまり、客席は46,314席分しか無いわけで、毎試合のように収容人数が1万人近くも水増しして発表されているということになります。しかし、百歩譲って、毎試合立ち見席の観客がいるので、客席分よりも多く観客が入る可能性は排除しないでおきましょう。まあそれも1万人もいるわけが無いのですが、それには今回は目をつむります。 今回テーマにしたいのは、よくテレビ中継などで連呼されている「スタンドは超満員」という言葉と、「46,314」の座席が満席になっているというのは本当なのか、ということ。もし、本当に連日満席状態が続いているのであれば、少なくとも消防署に届けられた分の座席数は「満員」に違いないので、言葉自体には偽りはないと言えるかもしれません。まあそれも、テレビ中継をじっと見ていれば、空席が目立つ試合があることにも気が付いてしまうものですが……。 実際に東京ドームで試合を見てみる 私たちは「東京ドームの満員発表が本当なのか」を検証するべく観戦しに行くことにしました。行ってきたのは5月13日の巨人−阪神戦。シーズンが快調に盛り上がっているこの時期、しかも伝統の阪神戦、しかもしかも首位攻防戦という絶好すぎるシチュエーションのこの試合。ちょっと検証には向いていない試合とも思えたのですが、逆に、恐らく東京ドームの試合で最も観客が入るであろうこの試合で空席が目立つようなことがあれば、「満員」の発表が虚偽だと言える可能性は高くなります。 検証の方法は、定点で4か所を試合開始30分後の18時30分から30分おきに撮影。観客の入り状況を観察していきます。早速、どのような感じだったのかを見ていくことにしましょう。 18時30分 1塁側(巨人側)内野スタンド | 外野寄り1階 | 外野寄り2階 | ベンチ寄り1階 | バックネット裏2階 | 19時00分 1塁側(巨人側)内野スタンド | 外野寄り1階 | 外野寄り2階 | ベンチ寄り1階 | バックネット裏2階 | 19時30分 1塁側(巨人側)内野スタンド | 外野寄り1階 | 外野寄り2階 | ベンチ寄り1階 | バックネット裏2階 | 20時00分 1塁側(巨人側)内野スタンド | 外野寄り1階 | 外野寄り2階 | ベンチ寄り1階 | バックネット裏2階 | 20時30分 1塁側(巨人側)内野スタンド | 外野寄り1階 | 外野寄り2階 | ベンチ寄り1階 | バックネット裏2階 | 若干手ぶれなどで見づらい写真で申し訳ないのですが、デジカメで撮影できる範囲で記録してみました。東京ドームの座席は青。したがって、写真で青く見えているところは、ほぼすべて空席と考えて良いと思います。ちなみに、外野席に関しては、目視した限りでは巨人側、阪神側共に空席はなし。阪神側は内野席に関しても空席はほとんど確認することができませんでした。なので、巨人側の内野スタンドを激写。 写真を見ていくとわかるとおり、1階席に関しては時間の経過と共に空席は無くなっていきます。ところが、2階席に関しては、時間が経過してもほとんど変化がないことがわかります。バックネット裏2階は19時30分ごろに最も観客が入っていますが、それでも青い座席が目立つ状態です。外野寄り2階に至っては、まとまった空席が目立つ状態がずっと続いていました。実際に数えたわけではないので確かなことは言えませんが、決して「超満員」ではなかった。それだけは言えると思います。 なぜ虚偽発表を続けるのか 以前、夕刊フジの記事(「球界盟主水増しミステリー…人気球団のプライド?」 )にこんな巨人の球団関係者の証言が出ていました。「いい加減、インチキな発表を続けるのにも無理がある。明らかに、席が空いているんだから、球場に来れば満員じゃないのは一目瞭然でしょう」。また、球界関係者の話として「観衆は主催者球団の営業担当者が独自に発表するもので、実数とはまったく違う。営業側にしてみれば、観客が多いことで、人気球団であることをアピールしたいという思惑がある。特に、球界の盟主という自負のある巨人は、絶対に観客動員では負けられない」との証言も。 ひとつ断っておかなければならないのは、観客動員数の水増し発表を行っているのは、なにも東京ドームの巨人主催試合に限った話ではありません。他球団も本拠地での試合では、かなりのどんぶり勘定の数字が観客動員数として発表されています。ただ、巨人の場合、「巨人主催試合の連続満員記録」に固執するあまり、一度も「55,000人」以外の数字が発表されたことがないという不自然さが、なんとも白々しく感じさせてしまうのです。 ちなみに、この5月13日の巨人−阪神戦。観客動員数は当然「55,000人」でした。この虚偽の数字による「巨人主催試合の連続満員記録」、皆さんはどう思いますか?
☆「巨人主催試合の連続満員記録」を理解するための関連サイト ・読売巨人軍 …… 選手紹介、球団の歴史など。公式ページ ・東京ドーム …… 施設概要、イベント情報など。公式ページ ・球界盟主水増しミステリー…人気球団のプライド? …… 夕刊フジ ・東京ドームの巨人主催試合、観客動員数水増しの謎。 …… Narinari.com ・イカサマ巨人ニュース …… 巨人軍にまつわるいろいろ ・5月13日 巨人 対 阪神 …… 試合のスコア、観客動員数。日刊スポーツ
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