日米カルピス比較
2004/03/27(Sat) 16:10
発売85年目を迎えた「カルピス」 日本人なら誰でもひとつやふたつ、思うところがあるであろう「カルピス」。「子どものころに友だちの家に行くと必ず出された」「夏場、暑い中食べるかき氷はカルピスに限る」「カルピスを飲むとなぜ口の中に膜ができるのだろう」などなど。アメリカの国民的な飲料がコーラならば、日本の国民的な飲料はカルピスと言っても良いかもしれません。ちょっと大げさかも(笑)。 「カルピス」はカルピス株式会社の創業者である三島海雲が開発した純国産の飲料。モンゴルの遊牧民が活力源として毎日のように飲んでいた発酵クリームをヒントに開発されました。カルシウムの「カル」にサンスクリット語の「最上の味」を意味する「サルピス」を合成して「カルピス」と命名されたその乳酸菌飲料は、大正8年7月7日の七夕に発売されたことから、包装紙には天の河をイメージする水玉模様が描かれているのだそうです。 日本では長い歴史を持つ「カルピス」ですが、海外での販売が始まったのは1991年から。アメリカ・カリフォルニア州に現地法人を設立したのを皮切りに、1994年にインドネシア、1995年に台湾、1997年にタイへと進出しました。海外で「カルピス」が飲まれるようになったのは意外と最近のことなんですね。 アメリカの「カルピス」 アメリカでは「cow piss(=牛のおしっこ)」と聞き間違えられるのを恐れて「カルピコ」の名称で販売されているのは有名な話ですが、実際に「カルピコ」を見たことはありますか? 名前が違うということはかなり古くからネタにされているので知識として知ってはいる人も多いかもしれませんが、「カルピコ」を見たことがあるという人は、意外と少ないかもしれません。 もちろん、インターネット全盛のご時世。検索をかければすぐに見つけることはできますが、わざわざ検索をしてみたことがあるという人は、そう多くはないはず。復習の意味もかねて、今回はあえてアメリカの「カルピコ」を見ていくことにしましょう。 「カルピコ」をチェック 今回用意したのは、最近は日本でもお目にかかる機会が少なくなった瓶入りのタイプ。と、言っても、アメリカではこのタイプしか販売されていません。日本のように紙パックではないんです。 まず、ラベルを見て気が付くのは、「CALPICO」とローマ字で書かれている下には、カタカナで「カルピス」と書いてあること。カタカナ表記も「カルピコ」なのかと思ったら、「カルピス」なんですね。 ただ、写真をクリックして拡大したものを見てみてください。右上に書かれた企業ロゴ、これはしっかりと「CALPIS」になっています。会社の名前は変えるわけにはいかないので、仕方ないところでしょう。アメリカでは「カルピス」が発売している「カルピコ」というわけです。 次に、裏のラベルを見てみます。ここには簡単な飲み方が書かれています。 「Just combine CALPICO with 4 parts of cold water」 要は1(原液):4(水)の割合で飲んで、ということ。この割合に関しては、日米の差はありません。カルピス株式会社が定めた黄金比率なんですね。 ちなみに、その下にはほかの飲み方も書かれています。牛乳割り、お湯割り、お酒割り。いずれも日本で広く愛されている飲み方と同じですね。アメリカらしい飲み方の提案でもあれば良いのに。 次に、「カルピスソーダ」、ではなく「カルピコソーダ」。オーソドックスなタイプと、メロン味、イチゴ味を用意しました。日本ではメロン味&イチゴ味は販売されていないと思いますが、味は容易に想像できるかと思います。恐らく、その想像と大差はありません。 この「カルピコソーダ」、よくよく見ると原液の包装紙には書かれていた「CALPIS」の文字が見当たりません。代わりにあるのは「AJINOMOTO」。カルピスと味の素は提携関係にある企業であり、1991年に両社の飲料事業は統合されているのでどちらの企業名を冠していても不思議なことではありませんが、原液と缶飲料ではちょっとした違いがあるんですね。 「カルピコ」は、基本的には販路が日本食材やアジア食材を扱ったスーパーに限定されてそうです。徐々に開拓はしているのでしょうが、そういう意味では、アメリカで日本のようなポピュラーな飲料になるにはまだまだ当分時間がかかりそうですね。 日本で愛され続けている伝統の味が、一人でも多くのアメリカ人に受け入れられるよう、頑張って欲しいものです。
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