“ホドロフスキーの魅力”とは、ガイナックスの未完の大作への言及も。

2014/06/13 00:15 Written by Narinari.com編集部

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6月14日より「ホドロフスキーのDUNE」、7月12日よりA・ホドロフスキー監督の23年ぶりの新作「リアリティのダンス」が公開される。その公開を記念して、先日、下北沢ブックストアB&Bにて先行トークイベントが行われた。ゲストには漫画家として活躍するほか、DJまほうつかい名義での音楽活動など多岐に渡り活躍している西島大介氏。そしてフランス語圏の漫画バンド・デシネの翻訳家で、数々のホドロフスキー作品を手掛けている原正人氏が、ホドロフスキーの魅力についてトークを繰り広げた。

このたび公開を迎える映画「ホドロフスキーのDUNE」は、メビウス、ギーガー、ダン・オバノン、サルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、ピンク・フロイドら、驚異的な豪華メンバーを配するも、撮影を前にして頓挫した幻のSF大作「DUNE」を追ったドキュメンタリー。その製作過程を、ホドロフスキー、プロデューサーのミシェル・セドゥー、ギーガー、ニコラス・ウィンディング・レフン監督らのインタビューと、膨大なデザイン画や絵コンテなどの資料で綴る。映画史上最も有名な“実現しなかった映画”ホドロフスキー版「DUNE」についての、驚愕、爆笑、感涙エピソード満載の作品だ。

以下、トークイベントの主な内容。

◎ホドロフスキーの出会いについて

原:学生の頃フランス文学を勉強していて、シュルレアリスムが好きで自然の成り行きでホドロフスキーを知った。当時はホドロフスキーの翻訳をするなんて夢にも思っていなかったけどね。

西島:原さんがシュルレアリスムからと言うなら、僕はSFの方からたどり着いた方が大きいですね。原作の『DUNE』も好きで読んでいたし。僕の絵は一見可愛い絵なんですが、ただ腕が吹っ飛んだりします(笑)、それってホドロフスキーの影響だったりします。『ディエンビエンフー』でも、片目つぶされて左手失った少年が、機械によって復活して、大暴れします。これも、『メタ・バロンの一族』から着想を得ました。

未完の大作といえば、ガイナックスの『蒼きウル』。山賀博之さんや、キャラクターデザインで貞本義行さんという豪華キャストが参加する予定でしたが、いまだ完成しないままでいる。『ホドロフスキーのDUNE』と似ているよね。それに、『サンタ・サングレ』に出てくる、血が大量に流れるシーンは、『エヴァンゲリオン』にも通じているし、庵野秀明とホドロフスキーは同じタイプの表現者だと感じました。


◎『ホドロフスキーのDUNE』について

西島:『DUNE』は結果、形にならなく、その後我々が知るのはデヴィッド・リンチ版の『DUNE』だけど、そこにスライドしたわけではなく、例えば『スターウォーズ』や『エイリアン』など、いくつもの名作作品に拡散しているんだよね。それはホドロフスキーが理念を伝え分散させ、種を播いているのと同じこと。それは一種の洗脳に近いというか、その一連の行動は宗教がかっていると思う。結果『DUNE』は完成しなかったけど、『DUNE』がやろうとした目的は果たせているし、その理念は作品を突き抜け、いろんな所へ届いている。

原:まさにその通りだよね。『ブレードランナー』だってそうだしね。

西島:『ホドロフスキーのDUNE』はクリエイターだけに限った話ではなく、シンプルな人生、生きる哲学が詰まっていて、愛情に満ち溢れているし。作品が頓挫しても、くじけない心だったり、物事をいろんな風に解釈する事で先に進めるとか、すごくシンプルなメッセージがたくさん詰まっているので必見です!


◎ホドロフスキー作品にこれから挑戦する人にむけて

原:シュルレアリスムから強く影響を受けているホドロフスキーの初期の作品を観るなら、僕みたいにシュルレアリスムからホドロフスキーの作品に入るのも一つですし、ただ逆にあんまり考えなくてもホドロフスキーを楽しんでしまえばそれが一番いいのかもしれません。

西島:ホドロフスキーは映画監督でもあるけど、漫画原作者でもあるし、タロット占い師でもある。だからタロットカードからも入れるし、入り口はいくらでもあるよ。今はちょうど映画を公開するタイミングで、一番ベストだと思うんですよ!こんなにいろんな弾が出揃って「さぁ、勉強してくれ!!」なんてことは中々ないし、初めてだと思うんですよ。

原:ほんとにそうだよね。映画も公開して展覧会もあって、こんなに間口が広がっていることなんて初めてだよね。だから、どっからでも入っちゃって平気ですよ。
※展覧会(6/14〜6/30 パルコ・ギャラリーX)
http://www.parco-art.com/web/gallery-x/exhibition.php?id=665

西島:そもそも、ホドロフスキーには初心者も熟年者もないし、我々だって知ったような口でトークしているけど、実は何も知らないのかもしれない。だから自由にホドロフスキーの海で泳いでいただければと思います!

※※※ ※※※ ※※※

ホドロフスキーの「DUNE」は完成しなかったものの、ホドロフスキーが蒔いた種は確実に後世に引き継がれており、ホドロフスキーが愛を持って伝えているメッセージ、与えた影響について改めて気づかされ、深く考えさせられた本イベント。会場からも多くの質問が飛び交うなど、終始熱い雰囲気で包まれイベントは幕を閉じた。

「ホドロフスキーのDUNE」は6月14日(土)より、「リアリティのダンス」は7月12日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンク他で公開。

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