職人本気のフランス風ラーメン、「PARIS RAMEN WEEK」で大好評。

2014/01/31 19:09 Written by Narinari.com編集部

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「クールジャパン」事業の一環として、1月20日から6日間、日本のラーメン食文化を伝える「PARIS RAMEN WEEK ZUZUTTO」がフランス・パリで開催された。「博多一風堂」の豚骨、「ちばき屋」の支那そばといった最もポピュラーな味のラーメン以外にも新進気鋭のシェフらによる新しい味の追求の形が披露され、舌の肥えたフランス人を楽しませた。(※前回の記事は 「 本格ラーメンにパリッ子舌鼓、『PARIS RAMEN WEEK ZUZUTTO』レポート http://www.narinari.com/Nd/20140124584.html)。

その代表として挙げられるのは、銀座にも店を構え、パリでも日仏交流夜会やWa-Bi Salonなどを開催し日本料理への愛情で知られるミシュラン・シェフのドミニク・ブシェさんのラーメン。食堂スタイルのお店「リトルB」で一週間の特別メニューとして特製のラーメンが提供された。

「これはラーメンだがフランス風に適応させたんだ」ということを強調したブシェさんのラーメンは、鶏と豚のブイヨンに、ブロッコリーやキャベツといった野菜を使ったもの。ゆで卵やチャーシューはほぼ日本の味で、麺も細麺で日本風。その中で大きく違いを感じたのはやはりスープだ。日本のスープはいろいろな旨味が渾然とした深みを与えるものであるのに対し、このスープは驚くほどにさっぱりとした味わい。ブレの可能性も考慮して筆者は2回このラーメンを食べに行ったが、肉が主菜、麺はそれを支え、スープはそれを邪魔しないような控え目な味という感想を持った。

しかし、開店早々訪れるフランス人ばかりのこのお店で、ラーメンは飛ぶように注文が入っていく。食堂スタイルのためナイフやフォークを自分で選べるためか、ナイフとフォークを使って食べたり、フォークで食べる人もちらほら。女性に見られた事象なので、もしかしたらパリのラーメン店でも髪留めを常備するといったサービスが今後見られるようになるのかもしれない。

もちろん、日本のシェフたちも大きな反響を持って迎えられていた。初日を飾ったソラノイロのシェフ、宮崎千尋さんのベジソバ。「女性が一人でも安心してラーメンを食べられるようなお店にしたい(http://www.soranoiro01.com/about-1/)」という思いが届いたかのように、筆者の前に並んでいたのは一人の年輩の女性。インタビューしてみると、この女性はその昔、すき焼きで和食デビューを飾ったほどの日本食好き。谷口ジローの「孤独のグルメ」などを通じて日本食に魅力を感じ続け、今日は同じく日本食好きな息子さんにこのラーメンの味を教えてあげるのだという。

そんな期待を背負ったベジソバは「鶏ベースのスープにニンジンピュレを合わせるというラーメンの常識を覆したもの」だそうで「麺にもパプリカを練り込んで見た目にも鮮やか」との紹介。

ポタージュのような甘みのスープに、ベジソバという名前なのに美味しすぎるお肉。柚子ごしょうで味がかなり変わるのでとても面白い味。年配の女性が帰り際に筆者に話しかけてくれたが、とても満足されたとのことだった。

店内は初日ということもあってか日本の業界、あるいは偉い人などが来られているようだったが、フランス人の客層は様々で、カップルのお客がテーブルでキスをしたりしているのを見ると「世界広しといえども、ラーメン屋さんでキスとかしてそれが画になるのはフランスだけかもしれない」といった妙な感心もしたりなど。

宮崎さんにお話も聞かせてもらったが、麺や柚子ごしょうといったものは日本から持ってきたものの、フランスの味の濃い野菜やゆっくりと時間を掛けた肩ロースなどに満足されており、法律的な面がクリアされればぜひフランスでもやっていきたいと語った。
※1987

米国の「ラーメンラボ」として参加された中村栄利さんは「中村屋」でカリスマと称された料理人。そのラーメンは「パリの冬のマルシェのラーメン」。パリのマルシェで見つけた冬の野菜30種類を「すっきりとした鶏ガラスープをベースに、8か月熟成させた自家製味噌を加え柚子と山椒でエレガントに味を調えた力作」に仕上げた。味噌は結構濃い味できのこの出汁がよく効いている。柚子の香りが爽やかで、飲み終えた後に山椒特有の舌のひりひりする辛味をちょっとだけ感じる。味噌バターという黄金の組み合わせに、ペトラーヴやロマネスコといった野菜が不思議と合う。味噌の味や山椒のひりひりする辛味はフランス人は苦手なのではないかと思われたが、周りのフランス人は皆スープを飲み干していた。

米国でも活躍されている中村さんに、自身のラーメンが受け入れられたと実感したのはどんな時か質問してみると、さすが「ラボ」の代表として、ラーメンの歴史を語られ、米国の現状はクラフト、職人によるラーメンの品質へ信頼感が増してきているとのこと。香りたかく、温かく、啜るという食形式も一体感を生みやすい上に、肉も野菜もスープも揃った完成されたひとつの料理として客にも受け入れられているという事実を感じていると語る。

今回のフランスのメニューも、本来は鶏ベースの塩や醤油といったラーメンが得意ではあるが、敢えて味噌に挑戦。その意図は「ラーメンforエヴリワン」、皆のためのラーメン、誰でも食べられるラーメンの追求にあるとのこと。米国ではベジタリアンやグルテンフリーを望む人のために、自家製味噌を用いることで醤油を使うことなく、きのこの出汁を加えれば自分の思う味を作れるという。フランスで出したものは鶏ベースではあるが、客の求めに応じて、きのこの旨味を増やしたベジタリアン用のラーメンも20人くらいに出したそうだ。

中村さんの、確たる自信とキラキラした熱意が感じる言葉はおそらく、今回関った全ての関係者が持っていたに違いない。ラーメンやその他の日本の食文化を広めるだけでなく、ラーメンに関る人たちの味への追求心、客を喜ばせたいという思い、そういうものに溢れているイベントだったといえる。



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