出生前遺伝子検査の意見公募、報道波紋で日本産科婦人科学会が実施。

2012/12/21 15:41 Written by

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日本産科婦人科学会は12月17日、公式サイト(http://www.jsog.or.jp/)上で「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」の指針案に関する意見公募を開始した。意見募集期間は来年1月21日午後5時まで。新出生前検査については、報道から波紋が広がり、11月に同学会が開催したシンポジウムでもさまざまな意見が出されていた。

◎特定の施設のみに限定

指針案は日産婦のほか、日本小児科学会、日本人類遺伝学会、法学・生命倫理分野の専門家、遺伝看護・カウンセリング分野や日本ダウン症協会からの外部有識者らによる議論に基づいて作成された。ここで扱われているのは、「米国で市販されている3つの染色体(13番、18番、21番)の数的異常に対する非確定的検査」のみだ。

この検査は、妊婦からの採血で簡単に実施することができる一方、検査の意義や解釈が不十分なまま利用された場合、社会の混乱、倫理的問題を招きかねないと懸念されている。

指針案には、「既存の母体血清マーカーに関しても臨床遺伝学の知識を有する専門医による十分なカウンセリングは行われておらず、新出生前検査を導入できる体制が整っているとはいえない」「たとえその体制が整ったとしても、検査対象は客観的理由を有する妊婦に限定すべき」といった方針が盛り込まれた。

その上で、それぞれの課題に対して新出生前検査を実施するために必要な施設要件に加え、対象となる妊婦の条件案が記載されている。

施設要件としては、検査対象の3つの染色体異常に精通し、豊富な診療経験を有する産婦人科常勤医や同小児科常勤医、認定遺伝カウンセラーや遺伝看護専門職が在籍すること、継続的な遺伝カウンセリングや妊娠経過のフォローアップが行えることなどが挙げられた。実施施設の認定は、日産婦や関連学会で構成される第三者機関が行うこととしている。
◎積極的周知はNG

指針案における対象妊婦の要件は次の5点。

1.高齢妊娠の者(出産時に満35歳を迎えている者)
2.胎児超音波検査で胎児が染色体数的異常を有する可能性が指摘された者
3.染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある者
4.妊娠前期(第1トリメスター)に受けた血清マーカー検査で、染色体数的異常を有する可能性を示唆された者
5.両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座(編集部注:障害が起こらない染色体異常)を有していて、胎児が13トリソミー(同:13番染色体異常)または21トリソミー(同:21番染色体異常)となる可能性が示唆される者

同検査について医師が妊婦に積極的に知らせる必要はないこと、安易に勧めるべきではないことのほか、検査会社が同検査を勧める情報を不特定多数の妊婦に配布することは望ましくないとの見解も示されている。なお、指針案は日産婦の公式サイトで閲覧可能だ。

日産婦理事長の小西郁生氏(京都大学大学院医学研究科教授)は、今回の指針案に関して「本検査は国内未承認で、日本独自のデータは存在しない。そのため、同指針確定後から、認定・登録された施設での臨床研究として慎重に開始されるべき」とのコメントを発表している。

意見の提出方法や詳細、関連資料、意見提出上の注意点などは、日産婦の公式サイトで見ることができる。

※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/12/19/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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