“家族前で心停止”助からず? 通行人や友人より心肺蘇生実施率低く。

2012/11/08 05:28 Written by

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「家族の前で心停止したら、あなたは助からないかもしれない」――金沢大学大学院医学保健学総合研究科の稲葉英夫教授(救急医学)らが第85回米国心臓協会年次集会(AHA 2012;11月3〜7日、ロサンゼルス)で11月4日、発表した演題に関するコメントが、AHA公式ニュースリリースで紹介されている。同氏らは2005〜09年に日本全国で登録された54万人を超えるの院外心停止例のうち、医師による介入が行われなかった約14万人を解析。心停止時の目撃者が家族だった場合、目撃者が通行人や友人だった場合に比べ、人工呼吸や心臓マッサージ(胸骨圧迫)などの心肺蘇生を実施する割合が低かったとの結果が示された。

◎不成功率も家族が最多

稲葉教授らは、2005年1月〜09年12月に国内のデータベースに登録された院外心停止例54万7,218人のうち、医師の介入がないものの目撃者がいた13万9,265人を抽出。目撃者を(1)家族、(2)友人あるいは同僚、(3)通行人、(4)その他―の4つに分類し、心肺蘇生の実施状況や患者の予後などを比較した。

解析の結果は次の通り。

・心停止から救急車の要請、現着までの時間が最も短かったのは通行人群。
・救急指令者の電話による指導に基づく心肺蘇生は半数近く(45.8%)に実施されていたが、家族による実施率は36.5%と4群の中で最も低かった。
・電話指導による心肺蘇生の不成功率は、家族が目撃者の場合が4群中で最も高かった(39.4%)。また、胸骨圧迫のみによる心肺蘇生の実施率も4群中最多(67.9%)だった(編集部注:対象期間当時、心肺蘇生の手順は気道確保、人工呼吸、胸骨圧迫の順で勧告されていた)。

◎家族の目撃者のほとんどが妻あるいは義理の娘

家族による心肺蘇生の不成功率が高かった理由について稲葉教授は、心肺蘇生に対する知識不足、あるいは愛する家族を傷つけてしまうのではないかという恐怖感が考えられると分析。すでに2008年の検討で日本人女性が心肺蘇生を実施しない傾向にあることが明らかになっている一方、心停止例の大部分は男性が占めており、今回の検討でも家族の目撃者のほとんどが妻あるいは義理の娘だったという。

また同教授は、日本では人口に占める高齢者の割合が高く、核家族化が進んでいるなど、米国とは異なる事情があると指摘。こうした要因を考慮した啓発などを行うことで、家族の目撃者による心肺蘇生の成績が改善するのではないかとの見方を示している。

※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/11/07/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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