女性が男性より長生きの理由、ショウジョウバエ使った実験で解明。

2012/10/30 17:04 Written by

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7月26日に厚生労働省が公表した「平成23年簡易生命表」によると、2011年の日本人の平均寿命は男性が79.44歳、女性は85.90歳だったという。人間の場合、一般的に女性は男性より5〜6年は長生きするといわれており、この傾向はほとんどの動物にも当てはまる。その原因は何なのだろうか。オーストラリア・モナシュ大学生物科学部のFlorencia Camus氏らは、ショウジョウバエを使った実験を行い、メスがオスより長生きする理由を突き止めたと、米科学誌「Current Biology」(2012; 22: 1717-1721)に報告した。

◎オスの寿命にだけ影響する突然変異

細胞内でエネルギー産生をつかさどる小器官、ミトコンドリアは、わずかながら精子にも存在するものの、多くは卵子を経由して、母から子へと伝えられる。ミトコンドリアには、その機能を維持するための遺伝子が乗ったDNAが存在し、ミトコンドリアDNAと呼ばれている。「世界中の人々の祖先をたどると一人のアフリカの女性にたどり着く」といういわゆる「ミトコンドリア・イブ」の仮説も、ミトコンドリアDNAをたどった分析に基づいたものだ。

このように、ミトコンドリアDNAは母からしか伝わらないので、女性が子を残すのに障害となるような突然変異は、通常の核DNAの変異と同様に世代を経るごとに淘汰(とうた)されていく。これに対し、男性が子を残すのに障害となるような突然変異は女性に無害なため、母から娘へと伝わって蓄積され、蓄積された変異を母から息子が受け継ぐと、息子にはその影響が出てしまうことになる。これは「母の呪い(Mother's Curse)」として、以前から予想されていたことだ。今回、Camus氏らの研究によって、この変異の蓄積が男性の平均寿命や老化に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。

Camus氏らは、共通の核DNAを持ち、ミトコンドリアDNAだけが異なる13系統のショウジョウバエ1万1,049匹を使った実験を実施。その結果、オスの平均寿命と老化速度に関する系統間の差がメスに比べて著しく大きく、それがミトコンドリアDNA上の突然変異の数と関係することが分かった。つまり、母親から受け継いだミトコンドリアDNAの突然変異はオスだけに影響を及ぼし、平均寿命と老化速度を大きく変化させていた可能性が示されたことになる。

一方、オスだけに有害なミトコンドリアDNAの突然変異がどんどんと蓄積されると、最終的に、メスの数が多くなる可能性が考えられる。しかし、実際にそうならないのは、突然変異の影響をいくらか回避するメカニズムがオス側にはあるからだと考えられている。Camus氏らは、そのメカニズムが一体何なのか、今後の研究で明らかにしていきたいとコメントしている。

※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/10/26/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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