時差5時間以上の遠征で病気増、ラグビー選手対象の南アフリカ研究。

2012/10/16 13:37 Written by

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南アフリカ・ケープタウン大学健康科学部のMartin Schwellnus教授らは、ラグビーの国際大会に参加した一流のラグビー選手259人の検討から、「スポーツ選手は、5時間を超える時差がある海外遠征で病気にかかる割合が、自国で試合をする場合と比べて2〜3倍高かった」と、英医学誌「British Journal of Sports Medicine」(2012; 46: 816-821)に発表した。

◎呼吸器系疾患が最多

検討対象となった国際大会「スーパー14 ラグビー2010」には、オーストラリア、南アフリカ、ニュージーランドから14チームが参加し、2月から5月にかけて開催された。試合会場は上記の3カ国で、自国と各国との時差は2〜11時間。試合は過酷なスケジュールの下、週1回16週にわたって行われ、その間に週3〜5回の練習も行われた。

Schwellnus教授らは8チームのチームドクターに対し、各メンバーについて治療が必要だった病気の記録を毎日付けるよう依頼。大会が行われた16週間の間に、187人の選手(全選手の約72%)が計469の病気にかかっていた。罹患(りかん)率(病気にかかった割合)は、選手1,000人当たり1日20.7人で、試合が行われた場所によって大きな差が認められた。

海外遠征の前に自国で行われた試合の罹患率は選手1,000人当たり1日15.4人だったが、ホームグラウンドから5時間を超える時差のある場所で行われた試合では、同32.6人に上昇。これは遠征の方角(東か西)とは関連しなかった。海外遠征後に自国で行われた試合では、同10.6人に低下した。

報告された病気で最も多かったのは風邪や肺炎などの呼吸器系疾患(30.9%)で、次いで胃腸炎などの消化管疾患(27.5%)、皮膚や軟部組織の病気(22.5%)だった。報告された病気の大半で感染症が関連しており、各月の感染症報告数にはほとんど差がなかったが、4月のみ若干の減少が見られたという。

◎移動そのものが問題ではない

これまで、飛行機での移動が罹患率上昇の原因ではないかとされてきた。しかし、Schwellnus教授らは「もしそうなら、自国へ帰ってきた後も感染症、少なくとも呼吸器感染症の罹患率は高いはず」と異論を唱えている。

また、「この結果は、病気になるリスクが移動(旅行)とは直接関係せず、むしろ遠い目的地への遠征や土地柄と関係していることを示唆している。汚染や気温、アレルゲン、湿気、高度の変化に加えて、食物、病原体、さらに文化の違いといったさまざまなストレス要因が関係している可能性がある」と推測している。

さらに「現在、トップアスリートは国際試合を通じて、海外へ遠征する機会が増えている。今回の研究では、5時間超の時差がある海外で罹患率が上昇することが示されたが、どのタイミングで上昇するかを特定できれば、チームドクターは予防策を講じ、監視を強化することができるだろう」と述べている。

※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/10/16/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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