オーガニック食品は過大評価? 「栄養価の根拠が不十分」との研究。

2012/09/11 14:06 Written by

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健康志向、安全志向の高い人々の間で人気のオーガニック食品。有機栽培された農産物やその加工品などのことを指すが、栄養価や安全性は本当に高いのか―。米スタンフォード大学のCrystal Smith-Spangler氏らがこれまでの研究結果を評価したところ、栄養価に関しては科学的根拠が不十分だったと、9月4日発行の米医学誌「Annals of Internal Medicine」(2012; 157: 348-366)に報告した。

◎欧米の論文237件を評価

オーガニック食品の売り上げは、米国では1997〜2010年の10年余りで36億ドル(約2,840億円)から267億ドル(約2兆1,060億円)と8倍超にまで増加しているという。消費者の購買動機は健康や環境問題などさまざまだが、オーガニック食品は一般食品の2倍程度に価格設定されていることが多く、栄養価や安全性の高さがうたわれる。

Smith-Spangler氏らは、7つのデータベースからオーガニック食品と一般食品を比較した論文237件を抽出し、系統的レビュー(※過去に行われた複数の研究を選別、吟味、要約し、それらが最も良い科学的根拠となるかどうかを評価する分析方法)を行った。論文の内訳は、ヒトを対象としたものが17件、栄養価や汚染物質を検討したものが223件で、いずれも欧米で行われたものだった。

ヒトを対象とした論文17件のうち、健康状態について一般食品と比較した3件を評価した結果、妊婦とその子供を対象とした研究では皮膚炎や喘鳴(ぜんめい=ぜんそく発作時などで聞かれる異常な呼吸音)などの改善効果は認められず、妊婦でない成人を対象とした研究では、オーガニック肉を食べているグループで冬季のカンピロバクター感染症の発症リスクが6.86倍に上昇していた。

このほか、血漿カロテノイド、ポリフェノール、ビタミンEとC、LDL(悪玉)コレステロール、DNA損傷や免疫系の保護、精液の質、リン濃度、脂肪量などについては、オーガニック食品を食べているグループと一般食品を食べているグループで明確な差は示されなかった。


◎残留農薬や耐性菌のリスクは低減

栄養価や汚染物質に関する研究では、アスコルビン酸やβ(ベータ)カロテン、α(アルファ)トコフェロール、ビタミンAなどのビタミン類で、オーガニック食品と一般食品に差は認められなかった。しかし、総フェノール濃度はオーガニック食品で高く、ミルク中のω(オメガ)3脂肪酸濃度もオーガニック・ミルクで高かった。

果物と野菜の残留農薬はオーガニック食品で30%低く、3種類以上の耐性菌が分離されるリスクはオーガニック食品で33%低かった。

今回の評価結果について、Smith-Spangler氏らは「オーガニック食品は一般食品に比べて栄養価が高いといわれるが、確固たるエビデンス(科学的根拠となる研究結果)は示されなかった。一方、残留農薬物や耐性菌などにさらされるリスクは低減される可能性が認められた」と結論付けた。ただし、研究の仕方や国によるオーガニック基準の違いなどがあるため、今回の研究でのみ得られる結果の可能性が高いことも断っている。


※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/09/10/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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