セクハラの“境界線”はどこ? 会社で気をつける点を弁護士に聞く。

2012/08/31 17:36 Written by

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会社で女性社員と接しているなかで、「それセクハラですよ!」と指摘されたことがある男性は、結構多いのではないだろうか。口先だけでの注意では終わらずに、場合によっては大問題に発展する可能性を秘めているセクハラ問題。何気なく発したひと言が、セクハラの対象になる恐れもあるので、発言には十分注意が必要だ。

それでは、一体どこがセクハラのボーダーラインなのだろうか。男性の中には、「え、これもセクハラ扱いされるの?」と、女性からのセクハラとの指摘に、戸惑いを覚えた経験がある人もいるかもしれない。

そこでこのシリーズでは、ありがちなオフィスでの言動をもとに、どこからがセクハラ扱いになるのか、どのような点に気をつけるべきなのかを探っていく。それぞれの言動についての解説は、セクハラ問題に詳しい松江仁美弁護士にしてもらう。

まずは、服装に関する二つの発言から検証していく。

(1)「今日の格好ずいぶん気合いが入っているね!もしかして、今晩合コン?」
(2)「スカート、ひらひらしていて可愛いね」

(解説)
「まず、セクハラのボーダーラインを考えるときに、気をつけなくてはならない二つの視点から説明します。一つ目は被害者目線、二つ目は常識です。」

「『被害者目線』というのは、セクハラを受ける側の視点で考えることです。質問項目の(1)も(2)も、一見しただけではよくある職場の無駄口に過ぎませんが、たとえば(1)のセリフを、隙さえあれば胸を触ったり、お尻をなでてきたりする上司から揶揄されたら、女性はとても嫌な思いをするでしょう。しかし、(2)のセリフを憧れの上司に言われた場合はどうでしょうか。女性は天にも昇る思いかもしれません。」

「それでは、嫌な人に言われたらセクハラになるのかというと、その論点はいささか危険です。(1)や(2)のセリフをどんなに嫌いな上司から言われたとしても、それだけで違法行為(セクハラ)と認定するのは厳しいと考えられます。ポイントは、『常識の範囲で、行き過ぎていないか』です。『被害者目線』と『常識』のかねあいで、ボーダーが決まると思ってください。」

続いて、肌の露出に関する言動二つについて。

(1)「ストッキング履かない足の方が、綺麗に見えるね」
(2)「ゴミついているよ」と女性社員の素肌を触る

(解説)
「服装よりは、被害者側の『踏み込まれた感』が増すので、より問題はデリケートになります。」

「しかし、服装の問題同様、被害者目線というのは難しいもので、憧れの上司から(1)のセリフを言われたら、その後彼女はどんなに寒くても素足でいるでしょうし、逆に嫌いな上司に言われたら、彼女はどんなに暑くても、厚手タイツを手放さなくなるかもしれません。」

「つまり、ここでも『常識の範囲か』がポイントになります。『常識』かどうかを見るには、言動を発した環境も材料となるので、(1)も(2)も、常日頃の言動と相まって判断されることになります。何かにつけて素肌に関した事を言い続けたり、毎回ゴミが肩についているはずもないのに触ったり、と意図が別のところにあることが明らかになれば、一見社交辞令にしか見えない言動もハラスメント化されることはあります。」  

最後は、怒りに任せて部下を怒鳴ってしまうケース。

(1)遅刻した女性の部下に向かって、「どうせ、昨晩彼氏といちゃついていて、寝坊したんだろう」と説教をする

(解説)
「これはイエローカードです。『いちゃつく』という単語は、性的な行為を彷彿させるので、そのことを揶揄しての言動はハラスメントになります。上司という立場でありながら、ミスを叱る材料として性的なものを発していることは、被害者側の感じ方も深刻になるでしょう。」

つまり、ある言動がセクハラかどうか判断される上では、その場だけでなく日頃の言動も判断材料になるということだ。

女性社員との距離が近くなればなるほど、つい相手に気を許しがちだが、「親しき仲にも礼儀あり」の精神を忘れず、女性社員と接する際には常に自分と相手の関係を考慮しながら、「これは不快に感じないだろうか?」という考えを念頭に入れておくことで、男性にとっても思わぬトラブルを予防することになるだろう。

◎取材協力弁護士
松江 仁美(まつえ・ひとみ)
一般民事、企業法務を中心に業務を行なっている。法律問題でお困りの方は、お気軽にご相談下さい。空手家として35年間修行に励んでいる。
事務所名: 弁護士法人淡路町ドリーム 代表社員

※この記事(http://www.bengo4.com/topics/109)は、無料法律相談・弁護士/法律事務所検索ポータルの弁護士ドットコム トピックス編集部(http://www.bengo4.com/)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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