米国で“鼻うがい”死亡例2件、鼻洗浄器の適切な使用を呼びかけ。

2012/08/28 13:24 Written by

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昨年、米ルイジアナ州で「ネティポット」と呼ばれる鼻洗浄器を使用してアメーバ脳炎で死亡する事故が2件発生した。これを受けて、米食品医薬品局(FDA)は「消費者健康情報(Consumer Health Information)」の8月号で、鼻洗浄器の不適切に使用しないよう呼び掛けた。2件の事故はいずれも原発性アメーバ性髄膜脳炎によって死亡しており、その後の調査から、鼻洗浄の際に使った水道水に含まれる「ファーラーネグレリア(Naegleria fowleri)」というアメーバとの関連が示唆されている。

◎飲用できる水でも脳炎に

鼻洗浄は“鼻うがい”などとも呼ばれ、鼻炎や慢性副鼻腔(びくう)炎(蓄膿=ちくのう=症)の治療法として医師も推奨している。「ネティポット」はヨガのグッズとして知られる鼻洗浄専用の水差し。FDA担当官のSteven Osborne氏は、ネティポットが一般的に安全で有用な製品としながらも、適切な条件で使用されない場合には死に至る可能性を指摘した。

同氏によると、水道水にはわずかに細菌やアメーバなどの微生物が含まれていることがあるが、飲む場合は胃酸によって死滅するため問題はないという。一方、鼻に侵入した場合は死滅せず、アメーバが神経を介して脳に感染すると原発性アメーバ性髄膜脳炎を発症する。アメーバによる脳炎は一般にまれなものの、致死率が非常に高く、経過が急激な他、病気の認知度が低い、他の病気と見分けることが難しいなど特徴があるため、実態はあまり知られていないようだ。

FDAは鼻洗浄には滅菌済み水を用いること、また白湯(さゆ)を使う場合には清潔な容器に保存して24時間以内に使い切ることなどを推奨している。また、ネティポットの使用に当たっては、手や器具をよく洗って乾かして用いること、使用上の注意に従うことなどを勧めている。ただし、FDAの調査によると、メーカーの使用上の注意には誤解を招く表現があったり、必要な情報がなかったりするものもあることから、使用法が不明な場合は薬剤師や医療関係者に相談するよう呼び掛けている。

これまで世界では、数百例の原発性アメーバ性髄膜脳炎に関する報告がある。ファーラーネグレリアは温暖な淡水に生息することが知られており、原発性アメーバ性髄膜脳炎を発症する数日前に「湖で遊泳した」「湖に落ちた」という若い人が多いのが特徴だ。

日本では1996年、佐賀県で初の症例が報告されている。国立感染症研究所によると、感染予防には「水泳中に鼻から水を吸い込まない、土壌、特に栄養分が多い園芸、農業利用のものを取り扱う場合にグローブを着用する」などの対策があるという。

※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/08/28/01)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。

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