「女性のヘアカット」動画販売、“日本人の利用突出”のサイト運営者に訊く。

2011/05/17 18:51 Written by Narinari.com編集部

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日本で知られている中国のウェブサイトと言えば、大手ポータルや新聞などのメディア、動画共有サービスなどが中心。マイナーなサイトは日本人とあまり関係がないため、それほど認知される機会がないのは当然なのだが、よくよく調べてみれば、中国にもバラエティ豊かなウェブサイトが数多乱立していることがわかる。そうしたウェブサイトのひとつ、中国では珍しいタイプのサイトを運営している男性に、ナリナリドットコムの中国特派員が話をうかがった。  



◎“女性のヘアカット動画”を販売

男性が運営しているのは、女性の髪をこよなく愛する人々が集う「芳飛剪髪網」(http://www.fhaircut.com/)。ここは、女性のヘアカットの一部始終を動画に収め、ダウンロード販売をしているサイトだ。

モデルの女性は10代後半〜20代半ばが中心で、長身で容姿端麗な煌びやかな女性から、中国の街角でごく普通に見かけるような一般的な女性まで実にさまざま。共通しているのは、彼女たちの美しい長髪がばっさりと切られ、カット前の姿からは想像できないほどの変身を遂げることだ。中にはスキンヘッドや坊主頭、刈り上げといった、女性には少々過激な髪型も含まれる。

四川省出身の潘長平さん(27歳)が「芳飛剪髪網」をオープンしたのは2008年10月のこと。ネットで同様のサービスを提供している日本語サイトを発見したことがきっかけだった。潘さんはそれまで建築現場で働いたり、スーパーの店員をしていたりと職を転々としていたが、そのどれもが収入的には満足な結果を得られず、将来への不安が募るばかり。そうした中、「人とは違うことをやらなければ」と思い、いつの頃からか「芳飛剪髪網」のオープンを真剣に志すようになっていたそうだ。

とは言え、こうしたサイトを運営するためには、さまざまな準備が必要なのも事実。女性の髪を切り、その映像を販売するのだから、最低限ヘアカットの技術を身に付ける必要がある。そこで潘さんは故郷の四川省を離れて上海へ。実際にヘアサロンでヘアカットの技術を学ぶとともに、日本のサイト運営者とメールで連絡を取り、サービスのノウハウを集積していった。そして、知人からお金を借りてビデオカメラなどの必要機材を調達。ようやくサイトの開設にこぎ着けたというわけだ。


◎モデルはすべて素人の女性

「芳飛剪髪網」の動画に登場する女性はすべて素人。そのため、モデル探しは知人の紹介や街頭でのスカウト、チャットなどを通じてスタッフ自らが行っている。彼女たちにサイトの主旨を説明して理解が得られると、繁華街にあるマンションの1室に来てもらい、そこで撮影。室内にはヘアサロンと同様、鏡やシャンプー台といったヘアカットに必要な設備が一通り揃っており、シャンプーやリンスは安全な正規品を使っている。そして、女性が椅子に座って準備が整った段でアシスタントの男性がビデオカメラの電源を入れ、撮影はスタート。潘さんが女性の髪にハサミを入れていく。

サイトで販売している動画は約270種類(5月7日現在)。まだ公開していない作品も含めると、潘さんはこれまでに300人近い女性の髪を切り、その模様を映像に収めてきた。動画はすべて60〜100分程度で、販売価格は1本15〜30ドルほど。価格は内容が過激であればあるほど高くなる。これは、女性に支払われる謝礼(数百〜2,000元)が、スキンヘッドや坊主頭の場合は高くなるためだ。ちなみに、潘さんによると「中国で運営されている同様のサイトの中では、うちの謝礼が一番高いため、比較的モデルは集まりやすい」のだという。

しかし、中国の女性にとって、スキンヘッドや坊主頭になるのは、お金だけで割り切れる問題なのだろうか。その点について潘さんは「もちろん、お金だけでは口説けないこともあります。でも、彼女たちは失恋などをきっかけに自ら『変わりたい』と願うことも。その『変わりたい』という欲求が、時に彼女たちを大胆な行動に走らせるのです」と語る。

もちろん、決して無理やり女性の髪を切っているわけではない。また、女性から要望があれば、カツラを無料で提供することもあるという。髪が一定の長さに伸びるまで彼女たちはカツラをかぶり、ヘアカット前後で何も変わりない日常生活を送るというわけだ。

サイトのPVは約10,000/日、売上は1日平均1,000元程度(約1万2,400円)。実際に動画を購入する人の多くは海外ユーザーで、中でも日本のユーザーは全体の28%を占めるほど、突出して割合が高い。これに米国(12%)、ドイツ(9%)、インド(5%)と続いている。

中国の国内では、広東省や上海、江蘇省のユーザーが比較的多いとのことだが、これは大都市のほうが比較的ネット環境が発達していることも影響しているだろう。ただ、一般的に中国人ユーザーは興味本位でサイトを覗くだけなので、ターゲットはあくまで海外ユーザー。そのため「芳飛剪髪網」は、中国語版以外に日本語版と英語版も用意している。


◎内陸の街・武漢にこだわり

数ある中国の都市の中から、潘さんが武漢の地でサイトを運営しているのは、コストとモデルの供給量によるところが大きいという。武漢は急速な発展を続けている都市だが、沿岸部の北京や上海、広州といった大都市に比べれば物価が低い。また、大学生や専門学校に通う学生が市人口の約10%(約100万人)にも達する学園都市という点が、若いモデルを常に探す必要がある潘さんの思惑とピッタリだったわけだ。


◎モデルに応募する理由

取材当日、カットに訪れた女性の一人に話を聞くことができた。20代前半の彼女は、大学で経済を学んでいるとのこと。モデルに応募した理由は「お小遣いが欲しかったから」と単純明快で、「怖いとは思わなかった?」との質問には、「このサイトは政府の許可証がきちんと出ていたから大丈夫だと思った」と話してくれた。彼女はスキンヘッドや坊主頭にするわけではなかったので、その分、敷居が低かったのだろう。なお、彼女と一緒にやって来た女性の友人は、撮影後、彼女に影響されたのか「自分もカットして欲しい」と潘さんに懇願していた。



◎今後どうする?

現時点で中国の国内に「芳飛剪髪網」と同様のサイトは少なく、競合と呼べる相手はあまりいない。そのため今後も続けていけばさらなる発展が見込める可能性はあるが、潘さんはいま、運営を継続するかどうか悩んでいる。

潘さんは交際中の恋人と年内に結婚する計画を立てているそうで、そのタイミングでサイトごと売却する案が持ち上がっているからだ。もともと長い間運営する予定ではなかったということもあるようだが、やはりこうしたサイトならではのリスクも、いろいろと抱えているのだろう。

ちなみに、潘さんの現在の手取りは月5,000元(約6万2,000円)程度あり、同年代の中国人と比べても決して悪い収入ではなく、単純に金額だけで言えば、潘さんが以前携わっていたどんな仕事よりも収入は多いという。引き続き「芳飛剪髪網」を運営していくのか、それとも貯金したお金で別の仕事を始めるのか、2011年は潘さんにとって大きな節目の年となりそうだ。

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