両腕失った青年のピアノに喝采、音楽家への夢を諦めず努力続ける。

2010/08/14 14:04 Written by Narinari.com編集部

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英国の“おばさん歌姫”ことスーザン・ボイルをはじめ、オーディション番組で素晴らしい歌声を披露した一般人が、世界中の話題を呼ぶケースが増えてきた。彼らに共通して言えるのは、持って生まれた素質だけでなく、日頃の努力と音楽に対する熱い思いが実を結んだ結果ということ。そして今回、中国のオーディション番組で注目を集めた23歳の青年は、さらに普通の人とは違った厳しい努力をしてきたという。10歳のときに遭った事故で両腕を失ったものの、音楽家の夢を諦めきれずピアノを猛特訓。そしてステージに上がった青年は、足の指で見事な演奏を披露して審査員や観客の心を奪い、会場の拍手喝采を浴びただけでなく、ネットでも大きな反響を呼んでいる。

この青年は北京で暮らす23歳のリュウ・ウェイさん。彼は8月8日に上海で行われた、中国のオーディション番組「China's Got Talent」のステージに立った。この番組は名前からも分かる通り、英米で有名な素人参加型オーディションの中国版として放送されているもの。今大会の優勝者は「上海万博の会場で、英国版・欧米版の優勝者と一緒にパフォーマンスを行う」(新華社より)とあって、さらなる盛り上がりを見せているようだ。

パフォーマンス前に流された紹介ビデオで、生活の様子と音楽に対する思いを明かしたリュウさん。彼は10歳のとき、友だちとかくれんぼで遊んでいた際に誤って高圧電線に触れてしまい、両腕を失ったという。しかし、腕を失くしても前向きな気持ちを失わなかった彼はこう語った。「私のような人には2つの道があった。1つはすべての夢を諦め、すぐに希望のない死に至るもの。もう1つは素晴らしい人生を送るために、腕なしで努力していくものだ」(中国紙シャンハイ・デイリーより)と。

18歳で人生設計を描いたとき、子どもの頃から抱き続けた音楽家への道を諦められなかったリュウさんは、そこから音楽理論の勉強と共にに、足の指でピアノを弾く技術を磨いた。雇った家庭教師は、足での演奏は不可能と見切りを付けて彼のもとを去り、友人の中には「その努力は無駄」だとやめるよう説得する人もいたという。そんな困難も「気にしなかった」彼は、日夜ひたすら努力を続け、足の指での演奏技術を身につけていった。

そうした努力を積み重ねてステージに立ったリュウさんは、名曲「Mariage D'amour(夢の中のウエディング)」を演奏。その様子は、YouTubeに投稿された動画「Armless Pianist in China's Got Talent 2010-08-08」(http://www.youtube.com/watch?v=Rfc68gy_HIg)などでも確認できる。そこに映し出された、とても足から生み出されているとは思えない、淀みない音の流れは素晴らしいの一言。「始めから終わりまでノーミスだった」という演奏に女性審査員は涙を見せて感動し、演奏を終えると会場にいた誰もが大歓声とスタンディングオベーションで彼を讃えた。

もちろん審査を通過したリュウさんは次のラウンドへ進出。そして彼の存在は、テレビで見守った中国国民のみならず、世界のメディアでも伝えられて話題となっており、一躍時の人になっている。それでも「オクターブをまたがった鍵盤を押せず、素晴らしい演奏ができないものもある」と、自らの課題もしっかり把握しているリュウさん。彼なら冷静に努力を続け、さらなる高みへ上っていくに違いない。

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